中古工作機械とは？種類と基本的な役割を解説入門ガイド

「中古工作機械」は、金属や樹脂などの素材を“加工して形にする”ための機械を、再流通させたものの総称です。 新品に比べて導入コストを抑えつつ即戦力を確保できる点が最大の魅力。ここでは、代表的な種類と役割、選び方の基本を分かりやすく解説します。

中古工作機械とは

工作機械は「マザーマシン（母なる機械）」とも呼ばれ、他の機械や部品を生み出す根幹設備です。 旋盤やフライス盤、マシニングセンタ、研削盤、放電加工機、プレス機など、多様な機種が存在します。 中古市場では、生産終了モデルでも現場の要件に適合すれば十分に活躍するケースが多く、 導入リードタイムの短さや費用対効果の高さから選ばれています。

主な種類とできる加工

1) 旋盤（CNC旋盤含む）

• 役割：ワークを回転させてバイトで外径・内径・溝・ねじ切りなどを加工
• 得意分野：軸物・丸物部品の量産や試作
• ポイント：主軸回転数、心間、チャック径、Y軸・サブ主軸の有無

2) フライス盤／マシニングセンタ（MC）

• 役割：エンドミル等で平面・溝・穴あけ・3D形状など多工程を自動で実行
• 得意分野：金型・一般部品の多品種少量〜量産
• ポイント：ストローク（X/Y/Z）、主軸回転、ATC本数、テーブルサイズ、制御装置（FANUC等）

3) 研削盤（円筒・平面・内面など）

• 役割：砥石で高精度に仕上げ加工（μmオーダー）
• 得意分野：硬い材質の最終仕上げ、公差管理が厳しい部品
• ポイント：テーブルサイズ、砥石の径・幅、主軸剛性、真円度・平面度

4) 放電加工機（ワイヤー・形彫り）

• 役割：電気的放電で金属を微細に除去し、難削材や複雑形状を加工
• 得意分野：金型・微細部品、抜き型・パンチの製作
• ポイント：テーブル行程、最大ワーク、発振器仕様、ワイヤ径、表面粗さ

5) プレス機（メカ・サーボ・油圧）

• 役割：金型を用いて打ち抜き・曲げ・絞りなど成形
• 得意分野：板金量産、家電・自動車の金属部品
• ポイント：加圧能力（t）、ストローク、ベッドサイズ、金型交換の容易さ

6) その他（ボール盤、ブローチ盤、レーザー加工機、ベンダー 等）

• 役割：穴あけ、切断、曲げなど特化工程
• ポイント：対象材・板厚、出力（W）、テーブル寸法、バックゲージ性能

基本構造と評価ポイント

① ベッド/コラム：機械剛性の基盤。歪み・クラック・錆の有無を確認。

② 主軸/案内面：主軸ラジアル/アキシャルのガタ、摺動面の摩耗、潤滑状態。

③ 駆動系・ボールねじ：バックラッシ、サーボ追従性、異音。

④ 制御装置（NC）：メーカー/世代、入出力、パラメータ保存、電池・基板状態。

⑤ 付属品/治具：ツーリング、チャック、ATC、プローブ、クーラント装置等の有無・状態。

どんな現場で活躍する？

• 町工場・中小製造：汎用性の高い機を低コストで導入し、短納期対応に。
• 試作・R&D：機動的にラインアップを組み、開発サイクルを短縮。
• 増産・セカンドライン：同型機を中古で追加し、教育・段取りを共通化。
• 海外拠点：電源・仕様が合えば、立上げリードタイムを大幅短縮。

中古を選ぶときのチェックリスト

• 加工サイズが自社ワークに合っているか（ストローク/心間/ベッド寸法）
• 必要精度に到達できるか（幾何精度、繰返し精度、仕上げ面）
• 制御装置の世代と保守部品の入手性（FANUC/三菱/Heidenhain 等）
• 電源・設置条件（電圧、ブレーカー容量、天井高、床耐荷重、搬入経路）
• 付属品の充実度（治具・ツール・マニュアル・配線・プローブ）
• メンテ履歴・稼働時間・稼働音（動画記録があればベター）

よくある質問（FAQ）